合同フォーラム「みんなでつくろう、明日の人材」
平成24年度 実施記録

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基調講演

本基調講演は、本フォーラムのメインテーマである「今、社会で求められている人材とは?」について、テーマが抱えている問題点や課題や今後への期待などについて、参加者がテーマと向き合う始まりの場として位置付け、大阪府中小企業家同友会代表理事の畑野吉雄氏(株式会社中央電機計器製作所会長)をお迎えし、「明日の人財を考える」と題してご講演をいただきました。

ご講演は、経営者として、また大阪府中小企業家同友会代表理事のお立場だけでなく、大学での講師をはじめ世界各地に広がる幅広いご活動から得られた様々な知見から、日本が置かれている現状をふまえこれから日本は何をすべきなのか、そこで大事にすべきことは何かなどのお話しいただきました。そこから求められる明日の人財について、能力の差が人生を決めるのではない、人生を決めるのは行動力であり、人脈であり、まず動くことが大切だと説かれました。グローバルな時代にあって中小企業もグローバルな時代であり、先生がもっと学生をたきつけることも必要だと。最後に、今企業には人間性(人間力)が必要、大きな夢がすべての原動力となる!と、学生へのエールを送られました。

関西地域は力強い優良な中小企業が多い土地柄でもあります。その中での畑野氏の幅広いご活躍の様子をうかがう中で、グローバルな時代にあって企業の規模に関係なく世界につながる大切さを改めて感じる貴重な時間となりました。

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パネルディスカッション
「今、社会で求められている人材とは?
 ~さまざまな立場から課題を考える~」

基調講演に引き続き、パネルディスカッションが行われました。パネルディスカッションは、本フォーラムのメインテーマである「今、社会で求められている人材とは?」の一環として、基調講演者の講演を受けて、本テーマである人材についての課題をふまえ、大学の人材育成教育のどこが問題であり、今後どうしていく必要があるのかを産官学が一緒に考えていく場としました。文部科学省、近畿経済産業局、堺市(自治体)、大学、学生それぞれの立場から社会から求められている人材について議論を行い、求められている人材や教育の在り方を一緒に考えていきました。コーディネーターとして本事業の幹事校である大阪府立大学の奥野武俊学長が、それぞれの立場からのホンネを引き出していただき、楽しいパネルディスカッションとなりました。また、パネリストとして、本フォーラムの学生企画の分科会を担当した学生リーダー会のリーダーが学生の立場として参加し、学生からの率直な発言があり、学生のための教育の実現に向けたフォーラムとして有意義でした。

それぞれの立場から求められているものについて、それらをどう大学の教育に反映させていけばよいのかについて議論を交わし、最後に、それぞれの立場から若者へのメッセージをいただいて終わりました。

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分科会1
「産業界ニーズ把握中間報告
 ~4つの取組テーマから考える」

本分科会は、「産業界ニーズ把握中間報告~4つの取組テーマから考える~」をテーマに、第1部では本取組の中心テーマである「産業界ニーズに対応した教育」の改善や体制整備を進めていくために、今年度、産業界及び参加14大学が現在までに把握している産業界ニーズを収集し、取りまとめた結果の中間発表を行い、第2部では、4つの取組テーマについてめざすところや今後の展開について報告するとともに、中間報告の結果について、現状で4つのテーマからみて大学の教育に活かされているのか、そうでないならどう取り込んでいくのか等について考える場としました。

ファシリテーターとして本事業幹事校主担当者である大阪府立大学の山野氏が担当し、パネリストとして、4つの取組テーマそれぞれの委員長、取組テーマIの大阪工業大学の長谷川氏、テーマIIの兵庫県立大学の西尾氏、テーマIIIの和歌山大学の鰺坂氏、テーマⅣの大阪成蹊大学の稲村氏、産業界ニーズ中間発表を担当する内部評価委員長の小畑氏、コメンテーターとしてニーズ調査の取りまとめに協力をいただいた株式会社ジェイ・エス・エルの照井氏にご登壇いただきました。

最初に山野氏から本事業の概要について説明を行いました。

続いて、第1部「産業界ニーズ中間報告」は、小畑氏から報告を行い、現在何が一番の課題であるかを委員長間で議論しました。

第2部には、4つの取組テーマについてそれぞれの委員長から、各取組テーマについて、(1)到達目標、(2)今年度の取組実績、(3)次年度以降の取組、(4)それらを実現するための課題について報告があり、本事業が目指しているところを確認しあいました。ここで整理できたことで、次年度以降の目標が明確になりました。

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分科会2
「社長はこんなこと考えてる!」

発表者
株式会社新日本テック 和泉 康夫 氏
辰巳工業株式会社   辰巳 施智子 氏
株式会社天彦産業   樋口 友夫 氏
ファシリテータ
兵庫県立大学 奥田孝一

目的

本分科会は、本フォーラムのメインテーマである「今、社会で求められている人材とは?」の一環として、地元企業の社長が考える「仕事とは?」「大切にしているもの」「学生に求めるもの」「将来の目標や夢」などの話を通して、大学で育成する人材教育について考える場とします。また、学生にとっては、社長からの生の声を聞くことで、企業が何を大切にし、どこに向かって進んでいるのかを肌で感じ、将来職業を選択するときに考えるヒントを得、今すべきことを考える場とします。

内容

 各社長に対して下記のような質問をし、一人ずつ回答していただきました。

質問1 会社を経営する上で大切にしているものは何か?
会社経営のポリーシなどを盛り込んで、会社の簡単な紹介をしていただきました。ミッションを明確にすること、志を大事にすること、誠実さ、工夫の大切さが強調されました。
質問2 仕事とはどんなものだと考えるか?
社長として経営に携わるまでの間に経験した、つらさ、困難、一方で喜び、楽しみ、生きがい、また、いろんな人との交わりや支えなど含めて語っていただきました。
質問3 将来の担い手である若者たちへ求めるものは何か?
 人事と社長(経営者)との違い、社長目線で学生に伝えたいことは何か。もっと具体的に、例えば仕事ができる人というのはどういう人のことか?など含めて語っていただきました。
質問4 将来の目標や夢を教えて下さい。
 将来、社会に出て行く学生たちへのメッセージも込めて、語っていただきました。自分の会社が日本になくてはならない存在、必要とされている存在、幸福を与えられる存在でありたいということでした。

会場(学生)との質疑応答

 3名の学生から質問がありました。採用後に大学院で勉強したくなった場合、子供ができた場合の支援に対する質問が女子学生からありました。社員第一、そして社員の家族も大事にする考え方、男女融合した会社経営の大切さが語られました。

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分科会3
「企業の社員教育で大切にしているものはこれだ!」

本分科会は、企業で行われている人材採用・育成について現場の生の声を聞くことにより、企業が育てようとしている人材像や、企業と大学における教育の差異を知り、今後の大学教育の在り方を探る手掛かりとすることを企図して開催されました。と同時に、学生の皆さんにとっては自身の成長のために今何をなすべきかを考える場としてほしい、との意図も、そこには込められています。パネリストとしてお迎えしたのは、 池田朋広 氏(パナソニック株式会社 本社採用センター企画チームリーダー)
谷井 等 氏(シナジーマーケティング株式会社 代表取締役社長 兼 CEO)
為定明雄 氏(日本経済新聞社 人材・教育事業本部長)
の3名の方々です。

分科会ではまず、最近の新入社員に対する率直な感想と、個々の企業でどのような人材を求めているかについてお聞きした。池田氏も谷井氏も最近の新入社員の持つ良さを認める一方、気になる点として、たくましさがやや足りないこと(池田)、「答え」を求める傾向が強いこと(谷井)を挙げられました。また、採用にあたっては、何らかの尖った強みをもっているか(池田)、会社の持つ価値観を共有できるか(谷井)を重視しているとのことでした。一方、為定氏は、企業が求める人材が、従来の「協調型」から、近年は「主体性」「チャレンジ精神」を持った「自主行動型」へと変化していることを、各種調査報告などを交えて紹介されました。その上で、主体性を育てるためには、早い段階から「答えのない事に取り組ませることが必要ではないかと指摘されました。

続いて、企業内で行われている社員教育の実例について、池田氏と谷井氏にご紹介頂いきました。その中で池田氏が強調されていたことは、(頭で理解するだけでなく)行動の形にうつせるようになること、でした。知識の伝授に重きが置かれることの多い大学教育との違いがそこにはありますが、しかし、近年は大学教育においてもスキルの育成が重視されつつあります。社員研修の内容が、知識の習得から、スキルやモチベーションの獲得へと変化している現状(為定)に、大学教育も無縁ではいられないでしょう。また、谷井氏は、危機感・渇望感を抱いた時に人は良く学ぶと指摘したうえで、OJTなどの中で競争原理を取り入れる工夫をしていることを紹介されました。大学教育の中で、直接、競争原理を持ち込むことは難しいかも知れませんが、明確な人材輩出ビジョンを持ち、学生の目標管理を行うことで学生の危機感などを高められるのでは、とのサジェスチョンもいただきました。

この他にも、大学は社会との接点を作り社会の厳しさを教える場であってほしい、教える経験をさせることの中から学ばせては、といった提案をいただくなど、本分科会は、大学教育の今後の在り方を考える上で、非常に示唆に富むものとなりました。また、参加してくれた学生の皆さんにとっても、多くの刺激を受ける場になったことと思います。

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分科会4
「実践的インターンシップ・PBLの発展に向けて」

1.目的・全体の中の本分科会の位置付け

本分科会の目的は、大学で実際に行われているインターンシップやPBLの事例紹介を行い、産業界の方から大学の取組に対して意見・アドバイスをいただき、これらのキャリア教育の手法や手段が産業界ニーズに対応したものになっているか、もしそうでないのであればどのように改善すべきかなどについて議論を深めることです。 また本分科会は、テーマIII「領域・規模別産業界ニーズをふまえた教育手法・手段の開発」の教育手段・手法開発委員会による委員会の成果(実践事例収集~実践内容の検証・評価)についての中間発表として位置付けられています。

2.対象

主に大学関係者、企業

3.登壇者

ファシリテーター
鰺坂恒夫氏(和歌山大学)
大学
和歌山大学 永成海里氏、山下エリナ氏、石川智大氏(IS)
関西外国語大学 中野誠氏(PBL)
大阪府立大学 森田裕之氏(PBL)
コメンテーター
小宅誠司氏(関西生産性本部 理事・事務局長)
植松高志氏(堺経営者協会 専務理事・事務局長)

4.分科会内容の報告

本分科会では各大学から実践事例の発表を行い、事例発表に対してコメンテーターから意見や助言をいただいた。その後、意見交換する中で課題抽出や評価・検証を行いました。

最初の発表では和歌山大学の学生である永成氏、山下氏、石川氏が、自分達が行った実践的インターンシップについて、会社概要、参加理由、内容、学び、成果を説明しました。

次に、関西外国語大学の中野氏が、自校で行っているPBLについて、テーマ、構成、目標、企業開拓、企業との連携、講師陣・受講者の要件、成績評価指標の説明を行いました。

最後に、大阪府立大学の森田氏が同校の教育プログラム「販売現場に密着した問題発掘型スタディーズ」について、産業界のニーズと大学の役割、役割の中での本教育プログラムの位置づけ、教育プログラムの内容、今後の課題について発表を行いました。

以上の発表を踏まえ、会場ではインターンシップやPBLの協力企業開拓の難しさ、企業の負担とメリット、社会人基礎力の企業側、大学側、学生側の認識などについて議論が行われました。

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分科会5
「キャリア教育の体系的なカリキュラムを考える」

ファシリテーター 長谷川昌弘

I,「キャリア教育の体系的なカリキュラム事例」のプレゼン(4例)

帝塚山学院大学の事例 ~生きる力の醸成を目指して~
生きる力 (1)意思の力 (2)情の力 (3)知の力 (4)躯幹の力
1年次=移行,2年次=考察,3年次=挑戦,4年次=選択
プロジェクト型インターンシップ
教育効果の評価 12の社会人基礎力に対応した自己評価により判定
大阪工業大学工学部の事例
1年次 リメディアル教育,基礎ゼミ(少人数),キャリアデザインI
2年次 キャリアデザインII (I,IIとも企業経験者10名で担当)(授業内容;テーマ説明,個人ワーク,グループワーク,発表,コメント,ワーク添削)
3年次 インターンシップ(OA技能の事前教育,就業体験,報告会)
大阪府立大学人間社会学部の事例 ~子育て教育系キャリア・コラボ育成~
領域:教育,社会福祉・保育,心理
1~4年次 フィールド体験,学びの交流会,社会インターンシップ,海外スタディツアー,コラボレーション演習,シンポ゜ジウム.(実践現場に出かけてコミュニケーション力をアップするのが特徴)
摂南大学法学部の事例~キャリアフライデー(金曜はキャリア教育の日)~
1年次キャリアデザインI ソーシャルスキル
2年次キャリアデザインII リーダーシップ開発,習慣
3年次キャリアデザインIII 模擬面接,エントリーシートなど就職活動対策
4年次エンプロイメントI・II 雇用能力の養成,教員との対話インターンシップI・II ビジネスマナーI・II

II,事例報告に対するコメンテーターからのコメント

コメンテ―タ―
公益社団法人 関西経済連合会 産業部長 野島 学 氏
堺市 産業振興局 商工労働部産業政策課 峯耕一郎 氏
野島 学 氏 からのコメント
キャリア教育では次の2点が大事である
  1. 社会を知ることができるカリキュラムが用意されているか社会のために働ことや,働く意味が伝わるようにしてほしい
  2. 技術や人材を束ねるリーダーシップ力(スキル)が養成できているか
    目標を設定して,チャレンジし,引っ張っていく力
    リーダーシップは企業トップだけでなく,全員に必要
    リーダーだけでなくフォロアーにもなれるかが大事
峯耕一郎 氏 からのコメント
  1. 帝塚山学院大学について
    • 4Cモデルについては,自分の考えをまとめて実行することが大切
    • プロジェクト型インターンシップは,企業側の負担もあるが,プレゼンが改善活動につながれば有効である.
    • 専門課程でも,企業と連携したプロジェクトを進める必要があるのでは.
  2. 大阪工業大学について
    • 理系人材教育では,学生に自分たちが研究・勉強していることがどのようなキャリアになるのか(キャリア・パス)を提示する必要がある.
    • 課題としている「キャリア教育の切れ目」は,産学連携の接点でカバーできるのではないか.
  3. 大阪府立大学について
    • 海外インターンシップは,世界から日本を見る(考える)ことができるので大変に有効であると考える
    • 子育てにも若い発想力が期待できる
    • 実行したことを「振り返る」ことが大切である.
  4. 摂南大学について
    • 4つのテーマを上げているが,これを学生に如何に気付かせるかが大事である. 

以上

本分科会では各大学からキャリア教育の体系的なカリキュラムについての実践事例の発表を行い、事例発表に対してコメンテーターから意見や助言をいただいた。その後、意見交換する中で課題抽出や評価・検証を行いました。

最初の発表は、帝塚山学院大学の事例「~生きる力の醸成を目指して~」をテーマに「移行」から始まり「考察→挑戦→選択」と続く1年次から4年次までの体系的なカリキュラムについて発表がありました。

次に、大阪工業大学工学部の事例として、1年次のリメディアル教育,基礎ゼミ等から始まり、2年の企業経験者によるキャリアデザインII、3年次のインターンシップに続く体系的なカリキュラムの発表がありました。

次に、大阪府立大学人間社会学部の事例「~子育て教育系キャリア・コラボ育成~」をテーマにした1年次から4年次までの教育,社会福祉・保育,心理領域の体系的なカリキュラムについて発表がありました。海外を含め、実践現場に出かけてコミュニケーション力をアップするのが特徴でした。

最後に、摂南大学法学部の事例「~キャリアフライデー(金曜はキャリア教育の日)~」をテーマにした1・2・3年次のキャリアデザインから4年次のエンプロイメントやインターンシップまでの体系的なカリキュラムについて発表がありました。

コメンテーターからは、「社会のために働ことや,働く意味が伝わるようにしてほしい」「技術や人材を束ねるリーダーシップ力(スキル)が養成できているか」「専門課程でも,企業と連携したプロジェクトを進める必要があるのでは」「課題としている「キャリア教育の切れ目」は,産学連携の接点でカバーできるのではないか」「海外インターンシップは,世界から日本を見る(考える)ことができるので大変に有効」「テーマを学生に如何に気付かせるかが大事」等の意見が出されました。

以上の発表を踏まえ、会場では、体系的なキャリア教育のカリキュラムの在り方について議論が行われました。各大学の事例はそれぞれに特徴があり興味深いものでした。また、コメンテーターからは、大学内だけでは気づかない点などについても指摘いただき、有意義な分科会となりました。

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